2022/07/12空気に漂うもの
家が住人に向かって牙をむくかもしれない。
こんなセンセーショナルな言葉をいう事で、世間の耳目を集めたいのではありません。
しかし少数の人にとっては現実に経験することで、何も誇張していないからこそ怖い
現実があります。
ここで紹介する人がいます、柳沢幸雄先生です。化学物質過敏症研究で第一人者と
言われる方です。先日保団連のインタビューに応えていましたが、最近のシック
ハウス症候群と化学物質過敏症の様子を語っています。
私達も度々これまでお話ししてきましたが、ここで整理する意味でも先生の話に
耳を傾けて聴くことにしました。
1990年代に顕著になり、新築住宅(住宅に限りませんが)で家族が体調不良
を起こす事例が各地で起きたのです。
当初は原因不明と言われましたが、既に欧米では70年代には指摘されていたの
でした。先生はこの化学物質過敏症を「第5の公害病」と言ってます。
水俣病、新潟水俣病、神通川イタイイタイ病、四日市ぜんそく、これら日本の
四大公害病は一定の地域で引き起こされたものです。
ところがシックハウス症候群などの化学物質過敏症は、特定の地域で起きる
のではなく、個別の住宅で起きるところが大きな違いです。
この様な姿で化学物質過敏症は、新しいタイプの公害病として顕在化してきた
のでした。
しかしこの公害は、家族の間でも発症する人とそうでない人が出てきます。
地域とも家族とも共通項がなく、発症者は周囲の無理解から孤独感と疎外感で
大きな苦しみを味わったのでした。
なぜこのような被害がもたらされるようになったのか。また私達が生活する
空間には何か悪さをする物質があるのか。そうだとするとそれはどのような
化学物質が漂っていると言うのか。
早くから警鐘を鳴らしていたのは、柳沢幸雄先生でした。
先生の話をじっくりと聞き、私達住まい造りの当事者は何を学ぶ必要があるのか
をしばらく考えたいと思います。