2022/07/14空気に漂うもの2
今でこそ新築の臭いだと言って喜ぶ人はいないと思いますが、出来上がった
住いは結構な臭いがするものです。
通称シックハウス法が出来て、20年近くが経過しています。
その骨子はホルムアルデヒドの発散量を抑える事と、部屋の換気を義務付ける
ものでした。そしてその格付けを行い、ホテルやレストランと同じような4つ星
(フォースター)を与えて最上級としたのでした。
専門家の人は当初からこの法律の危うさを指摘していたのでした。
どういうことか一言で言うと、規制対象がホルマリンだけにとどまっている事、
そして発散量を低く抑えた建材であれば、いくらでも上限なしで使用出来るという
ことです。
野放しの状態から規制が掛かることで、いくらか改善されたのですが問題は依然
として残ったのです。ホルマリンが規制されれば、代替品の接着剤の開発が進み
いくらでも同じような商品が出来るからです。化学物質の分子構造を少し変える
ことで新しい接着剤が出来て「ノンホルマリン建材」として今度は売り出された
のでした。このことは違法な分子構造を変えて、法の目をかいくぐる脱法ハーブや
危険ドラックとよく似ています。
これではイタチごっこの状態になって効果の程は期待できませんね。
実際現場では、フォースターという安全な建材を使った家ですので、何も心配はいり
ませんよ。この様な説明がお客様にされていたのです。しかし根本の問題が残っている
限り、解決されることはないのです。
この事は我々建築に携わる者も良く認識していなければならないことで、国の規制や
法律が整備されても、それだけでは万全ではないという事です。
2010年参議院議員会館が建設されましたが、化学物質の発散により多くの議員や
秘書の方の具合が悪くなり、病院に担ぎ込まれたのです。
中には重篤な症状に陥った者もいたのです。誠に皮肉なことでした。
この建築はもちろん、シックハウス法に違反しない建物であったことは言うまでも
ありません。相変わらず新築の家で悩む方はたくさんいます。
自分の健康は自分で守らなければならないのが今の現状です。