2022/09/06次に考えること
住まい造りで最も考えさせられるのは外観のことです。
間取りは幾度か検討を重ねるうちにボリュームもプランも固まってきます。
家族構成、資金、土地の性格が家造りの前提にありますので当然なのですが。
ところが外観は選択するものが多く、かつ個人の好みもあって簡単には行きませんね。
形、素材、色は外観を決定づける3要素ですが、間取りに相応しい屋根の組み方が
あって、これはある程度経験者でなければ上手く行かないものです。
と言うのは屋根は間取りと違い、自由に発想が出来るので幾つものアイデアが思いつく
のです。その中でオーソドックスな屋根として昔から沢山の家に採用されて、安定した
形状をしているのが切妻屋根です。
何か物騒な名前をしていますが、端っこを妻と呼ぶことの多い事からこのような名前に
なったと言われます。外観は両方に流れる屋根面が見えて、とてもシンプルな形で雨漏り
の心配はほとんどありません。
和風建築にはよく似合い、瓦屋根の一枚一枚が作るグラデーションがいい趣を作るので
した。どちらかと言うと奇をてらわずに、正統で基本的な屋根の掛け方と言え
ます。また質実剛健で重みのある屋根形状とも言えます。
そこから建築美を意識して発展してきたのが、寄棟やその変形である入母屋屋根、更に寄棟
屋根になります。軒先をどの面にも下ろしてきて、低い位置で地面と向き合うことで安心感
や落ち着きのある外観が造れるようにしたものです。
更には実用的にも軒が下りてくることで雨露をしのぐ役目も担うことになります。
それで長い間伝統的な屋根形状をした家造りが行われてきたのでした。
それが最近個性のある屋根や形状を好む人が増えて来て、新築の家は夫々自己主張をする
ようになりました。情報の入りやすさやもあり、また若い人がスマートでシンプルな感性
を好む傾向が出てきたことも影響しているかもしれませんね。
若い人の持つ才能は昔の比ではないことは実感しています。多様で変化には柔軟に追従
できて、更にこの流れを加速していきそうですね。