2022/10/31基準は何
およそこの世に存在するもの、形あるものは単位となる寸法があって作られています。
それが人によって、製作所によって違うということはまずありませんね。
ところが家の寸法は造りかたによって違いがあります。
聞いたことがあるかもしれませんが、関東間、中間間、本間という具合にそれぞれ
に違いがあります。
田舎に旧家を改造して食堂を営む店がありました。昼飯を食べに行ったのですが、
座卓のテーブルに座ると和室の天井がとても高いことになっているのです。そして
8畳の間だったのですが、とても広く感じて10畳位あるのではと感じたのです。
天井も高く320センチ位はあったのではないでしょうか。標準の天井高さが今
240センチですから、80センチも高いことになります。
麓地区に建つ家で床の間、書院、欄間等が設えてあります。郷士の家系だったのでしょう。
和建築では昔から基準があり、内法(うちのり)という最も家造りの基本になるものが
存在します。
畳から鴨居の下端迄の高さを言い、どこに建つ和建築でも一緒です。これは建具の高さ
にもなるのですが、5尺8寸と決められています。(175.8センチ)
流石に今この高さでは頭をぶつけてしまいますので、20センチ以上高くなっています。
先ほど間のことを言いました。今本間は一間の寸法を便宜的に200センチとしている
のですが、本来は畳の寸法が一間という事になっていたのです。
畳の長さが190.9センチ、短い方がそ95.45センチとなりこれが基準です。
すると柱の間隔は6畳、4.5畳、8畳で違ったのです。
ちょっとここは理解しにくい所でしょうか。要するに畳の寸法が基準になっていると
いうことは、この畳をどこに持って行っても嵌るという事です。
床の間に敷いてあった新しい畳は何年かすると茶の間に敷かれ、そして次には納戸に
敷かれるという具合です。ですから新しい畳は床の間にしか敷かれなかったのでした。
合理的でよく考えられていたのでした。