2022/12/03続、前に進んで
空っぽになった実家の様子は、がらんとして広いものです。
私達が造る6帖とは全然違っていることを実感します。やはり本間の家造りの大きさ
を改めて知るのでした。畳1枚の長さ、幅が大きいので縁(ヘリ)が随分小さく見え
ます。解体される家は木造建築ではありますが、伝統工法と言われる構造様式です。
現在造られる木造住宅は在来工法と言いまして、戦後の混乱期に建築基準法が急遽
整備されてからのものです。
似たような名前ではありますが、構造の在り方や構造計算の考え方は別物です。
その時基準法のどこにもこの伝統工法のことは書かれなかったのです。
それで今後この工法による家造りはまったく消えてしまう運命となりました。
まったく惜しいことで、見直しの機運はあるのですが具体的に進むことはないです。
唯一残されたのが社寺等の建築になるのですが、それでも伝統工法に忠実なもの
ではありませんね。今の基準法に沿ったやり方が求められて、昔の儘というわけには
いきません。
床に入る太い地回りの桁は「うどこ造り」というもので、湾曲した丸太を削っただけの
ものを木組みとして配置します。何の為にこんな太くて大きい材が入るのでしょう。
その理由は建物を重石のあるものにしたいからです。
敷石の上に柱が立ち組み上がるのですが、家全体の重心を下げるには重たい桁が必要だった
のです。もう一つ特徴のある呼び方があります。「きゃくろ造り」と言われるもので、本来
の桁の下にもう一つ桁が入り、ここが鴨居になります。
骨格がしっかりして、桁が二重に入ることで歪を抑えることを期待しています。
この「うどこ造り」と「きゃくろ造り」は南九州独特の呼ばれ方ではないかと思って
います。昔からそう言われていますが、全国ではそのような名前を聞くことはありません。
敢えて言えば地回り桁であり、差し鴨居となるでしょうか。
希少なうどこ造り、きゃくろ造りの様子を解体する前にカメラに収めたいです。