2020/12/19盗んで覚える
徒弟制度にある職人の世界のことと思う方もなかにはいることでしょう。
でも実際は働く社会人に共通の心得であり、仕事を早く覚えるコツと言えます。
「それは昔の古い人の考え方で、今の若い人はそれでは育たないよ」と一顧だに
しないのは、人が育つということをよくわかっていないのではと思います。
よく一人前になった板前や職人が言う言葉がありますね。
「何一つ師匠からは教えてもらっていない」とよく聞きませんか。
昔気質の師匠や先輩は基本弟子や後輩に、手取り足取り教えてくれることは
ありませんでした。
それで師匠のやり口を見てそれを「盗んで覚える」ということが日常でした。
実際は後輩や弟子が育ってきて、ここはひとつ任せてみようかと師匠が考えるように
なったら、ヒントや勘所を少し教えてくれたように思います。
一から十までということは決してありませんが、ずーっと一緒に仕事をするうちに
師匠の手法や考えていることを見てきたはずと思っているのです。
そして仕事を任されたら自分なりに工夫をして、試練を乗り越えなけらばなりませんので、
観察する目が自然と養われてきたと言えます。
教えてもらえないからそうせざるを得なかったとも言えます。
野球の監督や指導者が「若い頃は教えすぎてうまくいかなかった」ということが
よくあります。
熱血指導で何もかも知っていることを教えてきたが、限界を感じるようになり
指導方針を多くの監督が変えざるを得なくなります。
教えられる方も手取り足取りでは自分の頭が動かなくなりますので、研究心とか工夫という
ものが全く無くなるのです。
人が主体性を持ち、考え始めたときに初めて成長できるのです。
今でも基本「盗んで覚える」ということは大事なことだと考えています。