2021/01/1050年後の建築の姿
40年から50年過ぎた家を解体することが多くなりました。
再建築をするためには今ある家屋を撤去解体しなければなりませんよね。
今は分別処分が要求されますので、順番に屋根材、サッシ等の金属、
天井壁材と進めていきます。昔のようにユンボが来て、一思いに
屋根から潰すような荒っぽいことはできません。
環境にやさしいリサイクルの出来る解体法になっているのです。
解体工事に立ち会うとよく気づくことが多いのですが、家の歴史というか、
経年の変化がよく分かります。
40~50年の間に家がどのように変化(劣化)するのかを見てみたいと思います。
まず屋根の下には野地板という厚み12ミリくらいのベニヤ板があります。
瓦やコロニアル、ガルバリウムが葺かれますので、これらの下支えになる板になります。
ところがこの野地板は太陽熱、雨天、台風時の厳しい気象にさらされるので
傷みやすさは他の比ではありません。経年とともに湿気を吸うことで膨らみ、
剥がれが生じて力なくたわんだところを幾度となく見てきました。
薄ベニヤを張り合わせて作ったものがベニヤですが、接着剤の寿命が無く
なってきているのです。床や壁、天井にも合板フロアー、化粧ピーリング板、
和天井のプリント銘木板は当時流行の上げ材でしたが、経年とともに
みすぼらしいものになっていくので、段々と家への愛着というものが薄れて
しまいます。よく床板がふわふわして、しまいには踏み抜くのじゃないかと
心配になって、リフォームの相談にやってくる人がいますが、いづれも
キーワードは合板ということです。
確かメーカーは合板の寿命は、半永久的に大丈夫ですよと言っていました。
対照的にユスの木やヒノキの無垢で張られていた場合はどうでしょうか。
鹿児島は産地でしたので、ユスのフローリングは数多く出回っていました。
何年たっても摩耗することなく艶が増し、処分するにはもったいないと
壊しながら感じるものです。
30年弱で解体する日本の住宅事情がありましたが、今は子や孫にも引き継ぐ
ことのできる家が求められています。
長寿命の家は環境問題にも温暖化にも貢献できるものです。
そのような長持ちする家をよく見ると、無垢の材料を採用し、貼り物や
新建材は極力なくして家を造っていることが分かります。
表面的な美しさもさることながら、中身も吟味して造りたいですね。