2021/01/29隣地と民法
建築をやっていると、ときたま隣地の承諾を得られないことがあります。
それで困り果ててしまい、計画変更や中止に追いやられる場合があります。
「うちの敷地には1センチたりとも入らせない」とかたくなに言い張る人に何とか
理解を示して貰うように動くわけですが、小手先でどうにかできるものでもありません。
例えば境界のブロックを積むのには、作業上どうしても隣の敷地に入らないとできない
仕事があります。入らないと出来ない、でも入らせてくれない。
あきらめるか、強行突破するかを迫られるわけですが、何れにしても苦しい状況に
変わりはありません。
話は過去に飛びますが、テニスコートの造成が済んで、境界のコンクリート塀を作るように
準備をしていました。当然境界のことですので、立ち合っての確認を上司はお願いに
行ったのです。境界ピンが打たれていましたので、立ち合いそのものはすんなりと確認
できたのでした。
しかし土工、大工、鉄筋工等の職人が敷地に入ることは承諾できない、という思わぬ返答
だったのです。上司は何日も思案しましたが、妙案が浮かぶわけではありません。
おそらく水面下ではあれこれ手を打ったのでしょうが、うまくいくことはありませんでした。
このままずるずると引き延ばされても工期は決められています。
引き渡しは目の前に迫ってきています。そしてどこかで上司は決断したのだと思います。
強行突破の手段をです。「すまないがお前がスコップを持って掘ってくれ」と。
ゼネコンの若い社員にやらせようとしたのでした。
昼間ではなく暗くなってからです。夕方から深夜遅く3時を回る頃迄掘ったでしょうか。
2月の寒い季節でしたが、一心不乱に掘っていると隣の旦那さんが出てきたのでした。
スコップの物音に気付いて出てきたのでしょう。
顔の表情までは分かりませんが、びっくりしたのだと思います。
ねぎらいの声は流石にかけて貰えませんが、怒られることはありませんでした。
あくる日に電話が事務所に来て「あなたの所の若い社員さんが夜中じゅう掘っていた、
もう明日から敷地に入ってもよいから」という電話です。
夜中に作業されても迷惑だからそう言ったのかもしれませんね。
ちょっと長くなりましたので続きはまた明日お話させていただきます。