2021/01/30隣地と民法2
強硬手段をとって作業を始めた結果、図らずも好転し始めた境界塀の工事でした。
土を掘りながらも気持ちは、旦那さんは明日どんな顔をしてくるか・・・。
怒鳴りこまれるか、警察に通報されるか、あるいはお宅らには負けましたよ、と言って
局面が打開されるか、色々と夢想しては明日を楽しみにする余裕が心にはあったのです。
上の立場の人は気が気ではなかったでしょうが。夜中に隣人が起きてきたことは先日
言いました。その顛末をお話しすると、仕事はさせてもらうことになりましたが
条件が付きました。
それは境界からいくらか離して塀を作ってくれないか、ということを言ってきたのです。
そんなことクライアントに相談なしに引き受けることなどできません。
実にしたたかで巧妙な人です。
最終的には、境界を誤解する恐れのある塀になっていますので、境界線に(これが大事)
敷地と同じ高さの低いコンクリート塀をもう一つ造ることで、後顧の憂いをなくす
ようにしたのです。こちらからすると随分譲った形の解決法でしたが、まとめることが
優先されたのです。
ずーっと後になってから知ったのですが、実は民法にはとても実際的で常識的な事が
書かれていることを知ったのでした。
家造りの工事をする際、「足場組、擁壁工事等の作業では隣地に入って作業をする
権利がある」とはっきり書かれています。でも取り扱いというか、勘違いをして相手に
あたるとうまくいくものもいかなくなりますので注意したいです。
いくら権利があると言っても、土足で上がりこむような態度では、相手は二度と話を
聞いてくれなくなります。
丁寧にそしてあくまでも貸してもらうという謙虚さで行かなければなりません。
そのうえで民法にはこのような規定があります、とタイミングを見て話すことが
いちばんいいでしょうね。そうでなくても難しい人なのですから、慎重な上にも
慎重な対応を心がけたいです。それでも敷地に入ることはままならない
と言われたら・・・。
いよいよ裁判所に出向き、権利としての許可をもらうことになります。
しかし相当な長期戦を覚悟しなければなりませんので、私もやったことはありません。
実際ここまでしてやる個人住宅の人はそうそういませんね。
仕事が平穏無事に何事も進めばいいのですが、まれに考えてもいないような難局に
出くわすことがあります。
そういう時は腹を決め、全身でぶつかることで局面が動くことがあります。