2021/03/30打っ放し工法
鉄筋コンクリートの壁をそのまま外壁として見せるやり方を、打ちっ放し
工法と言います。今でも地味に人気があり、玄人好みの味わいを醸し出して
くれます。鹿児島でも数は少ないですがいくつか建築されて、独特の
存在感を持っています。
県での最初の本格的な建築は照国神社近くのBIGIビルではないでしょうか。
打ちっ放しの建築家、安藤忠雄の設計で敷地に沿った曲線の美しさは見事です。
まさに名建築と呼ばれるに相応しいものに仕上がっています。
出来上がったコンクリートの表情、規則正しく並んだ木コン(型枠を固定する金具)
の配列、ベニヤの縦横のラインが整然として、建築士はこぞって見学したのです。
あと鹿児島大学の稲盛会館も安藤の設計で、球体の打ちっ放しには驚いたものです。
「球体のコンクリートを造るにはどうするんだ」と実践的に考えたくなるのが建築屋の
性です。思い浮かぶのは小学校の時、地球儀を作る授業があり両方に細長い三角形の
ピースを貼り合わせて完成しましたね、あの要領ではないかと思うんです。
聞くとパソコンで球体の長さを算出して同じようにやっていたと聞きます。
そこに先ほどの木コンの配列を考えて型枠面を構成してやっとコンクリートを
流し込むことが出来るのです。
それ以前にも指宿の岩崎ホテルが建てられてはいましたが、コンクリートの
型枠が今とは違いますので風合いが違いますね。今はベニヤというものがあり
大きな面を作れますが、当時は15センチ幅位の縁甲板を使っていました。
無数の板の継ぎ目ラインと木目模様が表れて、大変な作業が偲ばれるのです。
ある時会社から、「今度武町で打ちっ放しの現場が出たので担当してくれ」
と連絡があったのでした。ではまた続きはお話しします。