2021/06/24そんな処置がある
コンクリートが無くては今や建築は出来ませんね。
基礎にスラブ(各階の床版)に擁壁や車庫にと、なくてはならない主要な建材が
コンクリートです。建築屋にとって、いつも身近にあるコンクリートですが
今日は雑学的な知識として紹介したいと思います。
コンクリートは2時間を目途に打設しないと、硬化が始まりますので油断のならない
作業です。それでコンクリート打設の日は、皆さんいい具合に気合が入って、
ピリッと引き締まった顔と出で立ちで現場に現れます。生コン圧送車が設置されて、
生コン車が代わる代わるやってきますので、戦場のような喧騒と緊張感の中に身を
置かされます。打設が終了するまで、ずーっと動きっぱなしの状態が続きます。
その現場は、地下ピットの分厚いコンクリート壁を打設中でした。厚みは45センチ位
だったでしょうか。高さは6メートルくらい、もっとあったかもしれませんね。
コンクリートは下から打設されて順調に上がってきていました。ザーザーという
コンクリートの流れる音でその位置は分かるのです。その最中です、いきなり型枠
(コンクリートを打つ為の木製の鋳型)が鈍い音を立ててバレてしまったのです。
裾が浮き上がり壊れて変形してしまったのです。同時に大量の生コンがはみ出して、
柔らかい山盛りのコンクリートが一面に広がったのです。すぐさま打設を止めましたが、
溢れた膨大なコンクリートに、複数いた社員は茫然としています。
「これをどうやって片付けたらいいのか」「相当な数の職人を呼び、壊したうえで搬出
しなければならない」そのような苦しい光景が浮かびます。
そこに「砂糖を持ってこい、たくさんの砂糖をだ、足りなければ買ってこい」とこのような
ことを言ったのだと思います。怒号の飛び交う中で良くは聞こえませんが、声は林所長の
ものです。「コンクリートに砂糖をぶちまけろ」と言っています。
私達若手は何が始まったのか分かりませんでしたね。言われた通り砂糖をコンクリートに
混ぜると・・・、「固まらない」のです。
なんとも不思議なことですが、いつまでも生コンのままです。驚きましたが、現実は
そのようになっています。やがて溢れたコンクリートは、固まる前に持ち出すことが
出来て無事処分できたのでした。林所長はこのような修羅場を、たくさん経験して
知っていたのだと思いましたね。