2021/09/03手作りのよさ
木造の家はかなり工業化されてきました。職人の手によって出来たものは、今では
数えるほどしかありません。工場生産された品物は画一的ではありますが、品質に
ばらつきはありません。そのような意味では、安心して使うことのできる建材と言えます。
ただオリジナリティはありませんので、本当に自分の家族の思いが詰まったものになった
かというと甚だ疑問ではあります。その時の流行で出来る家は、うちの家も隣の家も同じ
物で出来ていたということはよくあることです。大量に工場生産される建築素材は、世の中に
広く出回りますので当然と言えば当然です。
表面のつややかで眩しいほどの仕上がり具合は、まさに工場生産品という印象を受けます。
ところがひとたび裏面を見ると、薄っぺらなベニヤで出来ていてそのギャップには驚きます。
年月を経るに従い、そのベニヤとか細い骨組みは剥がれ、浮き上がることはよく経験する
ことです。一方真物の木で出来た建具は、次第に艶を帯びてきて年とともに風格と味わいが、
出るものです。これを経年美化とよんで、その変わりゆく姿を楽しむことが
出来るのです。張りぼての家とは一味違う風合いを体験できるのも、自然素材の特徴です。