2021/09/21気候の言い方
彼岸花や中秋の満月を見ると、やっと秋の季節を感じるようになります。
気候がさわやかで澄んだ空気は気持ちがよく、一番いい季節かもしれませんね。
この様な快適で気持ちのいいことを、鹿児島人は「肌もっがいい」と言いながら過ごし
てきました。暑かった夏がようやく過ぎて、やって来たしのぎやすい気候は待ち望んで
いたものでした。語源からも体にやさしい気候であることがよくわかりますね。
この様な気候に関する言葉が、豊かに残っているのが、鹿児島弁です。
夏の天気は蒸し暑い日があります。風が吹かずにまとわりつくような湿気は、不快なもの
です。この様な気候を「今日はホメッドナ」と言い、涼を求めてあれこれ工夫したの
です。打ち水を庭にするのはよくありましたね。なにせクーラーの無い時代ですから、
自然現象は受け入れる以外なかったのでした。もう一つは「そどやの風が吹いて
涼しい」と言っていることです。夏の北側の空き地は、狭くて細長い形状をしている
ものです。木々が境界に沿って植えられてもいます。この細長い裏庭を通り抜ける風は、
ひんやりして気持ちのいいものです。うたた寝や昼寝をするのは決まってこのそどや
(せどやとも)の方角です。
また入道雲が一変して黒い雨雲が垂れ込めると、突然のにわか雨に襲われることがあり
ます。「さだっが来た」と言って干してある洗濯物や、収穫した農作物を慌てて取り入れ
たのです。それぞれ時宜にかなった言葉で、とてもしっくりくる言い方です。