2021/11/02一気呵成7
年が明けると更に工期はひっ迫してきました。
さすがに正月休みは取れたが、すぐに仕事は始まり3月初めの検査に間に合わせなければ
なりません。体育館の工事が一番最後になり、屋根鉄骨工事をやるかたわら、教室棟は
既に左官が入り仕上げ工事が始まっています。職種も増え職人も大勢やってきて、社員は
一日中走り回っています。一番寒いこの時期は生駒降ろしという北風が吹きすさび、南国
育ちの身には堪えます。事務所に戻る昼食時にやっと暖を取れて、温かい昼食が何より楽し
みでした。冬期の現場で最も気を付けなけれければならないことは、コンクリートや
モルタルを凍てつかせないことですね。
土間コンクリートやスラブコンクリート、あるいは左官の塗るモルタルは、氷点下を更に
下回る温度では凍ってしまいます。それでシートで覆い養生をして、夜間の凍結を防がな
くてはなりません。それが出来ないようであれば、ジェットバーナーと言いまして、灯油を
焚いて一晩中番をすることになります。こうして喧騒の2か月半を休み無しで働き、どうにか
こうにかカッコを付けたのでした。
検査までこぎつけて、手直し工事を終えるとやっと一息つけるのでした。
着工より竣工迄これほど厳しい工期の中で手掛けた建築はありませんでした。
現在、適切な工期を算定し、確保するように建設省では指針を出していると聞きます。
また発注の平準化と言いまして、年度末に集中する工事を分散し、年間を通して発注する
ように少しずつ改善されてきました。
どうしても単年度予算に拘ると無理な工事の遂行になりますので、2年度にまたがるよう
なやり方も出てきたと言います。若い人達が建築業に魅力を感じ、物作りの最前線である
職人の手仕事にやりがいがあれば、また戻ってくるはずですね。