2021/11/06食わず嫌い2
割角とは木材の中でも銘木の事を言う専門的な用語です。
あまり馴染みのない言い方ですが、木材関係者や建築業者には日常的なものでした。
以前数寄屋造りの家造りは人気があり、和室を伝統的な設えで仕上げることは、
ステータスにもなっていたのです。その割角は極めて素性のいい木材で、節の無い木で
もありましたから、高値で取引されたのでした。
綺麗な赤身を帯びた木目は、肌触りが温かくしっとりとした感触があります。このような
銘木を使い建てられた家を、家族は自慢したものです。
ところが時代が進み若い人たちの家造りが主流になってくると、割角の木材でなくても
いいという人達が出てきたのです。同じ真壁の家なのですが、柱には節があり、梁もまた
同じように節のある木が使用されているのでした。
和室の柱を、真壁の柱を節の入っている木材で仕上げる。今迄に無いことで、和室の
部屋にそれはないと思いましたね。ちょうど時代は自然素材の家が流行り出した頃で、
どこも似たような家造りをするようになっていました。
その家は和室だけでなく居間も寝室も、家全体が真壁の家で出来上がっています。
数寄屋の家は、隙の無い緻密な細工の家なのですが、その趣とは全然違った家です。
建築屋の常識的な感覚からかけ離れて、少々驚いたものです。
一方で自然に出来る梁や天井の木目の様子は、家全体が野趣を帯びて、いい味を出して
いる事にも気付くのでしたが。
そこに割角の柱だけを持って行っても、違和感があるだろうなという思いはありましたね。
今の家造りで節にこだわる人は少なくなりました。もともと木は節があるのがあたり前
ですから、それを素直に受け入れる造り方ですね。