2021/12/11大切なもの
楽しい家では上棟式は支障の無い限り、開催をお願いしています。
先日もM様のご尽力で開催することが出来て、感謝の思いで一杯です。
記憶に残り、記念にもなって改めて開催してよかったと、思う日が来るものと思って
います。家には棟という所があって、これが取り付いて初めて執り行うことが出来ます。
ですのでいくら柱、梁の頑丈なものが建ち、渡されても棟上げとは言いませんね。
棟上げは昔から縁起のある事とされ、上棟式は欠かせないものだったのです。
それが最近式をしない事を選択する人もいて、少し寂しい思いをしています。
これは私が寂しいのではなく、家がそのような扱いを受けることで、寂しくなるのでは
との思いであります。
数十年経った家を解体する機会は少なくありませんが、棟木には必ず上棟の日付と家主の
名前が墨書きで記されています。「棟板」と呼ばれるものですね。そこには棟梁の名前も
刻まれていることもあります。
楽しい家での棟板(手形板)は少し大きなもので、家族の手形を朱墨で押して、そこに思い
を込めた言葉も載せるようにしています。これが後々きっと家族の宝物になると思って
います。今家を造る方は出来るだけ簡単に、出来る事ならしたくないと考える人もいます。
手間暇かかり面倒くさいことは、全くその通りです。
時間もお金も要してあまり意味を持てないのです。しかしよくよく考えてみて、今迄生きて
きた中で記憶に残る事は何でしたでしょうか。その多くはきつかったこと、大変な苦労を
伴ったこと、気力を振り絞って頑張ったことと共にありませんでしたか。
平穏な日常の中から記憶に残るものは極めて少ないものです。何も穏やかで無事な生活を
駄目だと言っているわけではありませんね。しんどい思いをして成し遂げた先には、良い
思いが残り記念にもなると思っています。