2022/02/07焼き物
南さつま市は加世田を中心とした街で、私にとっては土地勘のある所です。
職場としてこの地域を走り回り、学校の級友にも多くの出身者がいて馴染みのある
地域になります。過日中心街から遠くない地で、窯出しの器の販売をやっていると
聞いたので尋ねたのでした。
店構えはそれほど広くありませんでしたが、日用品から受彰作品まで並び、店主の
作風を垣間見るのでした。土産に一つ買って帰ろうとしていると、初老の店主が
にこやかな顔をして近づいてきたのです。陶芸教室をやっているらしく、子供にも
教えているようでした。今では土は日本各地から送られてくるものを混ぜて、やって
いると言います。
昔この地には良い粘土が出て、それで焼き物が始まったらしいということです。
年代も近いとおぼしき方で、一つ二つ質問をするとあれもこれも聞いて欲しいと、
途切れることなく早口で言葉を繰り出すのです。まるで少年のようなピュアな感覚
をお持ちでした。土は陶芸作品には欠かせないものですが、焼き方の温度に話が
及び始めて、大変興味を持って聞いたのです。
話は鹿児島の日置瓦に飛びますが、同じように粘土をこねて焼くことは瓦も同じです。
いぶされた日置瓦は、和風建築の屋根材としてブランド品の扱いを受けていたのです。
良い値がするので、たいていの人はセメント瓦で我慢するしかなかった時代がありました。
しかし最近ほとんど見かけなくなり、焼き窯もあるかどうかも分からないくらいです。
どうして振るわなくなったのか。隆盛を誇った瓦はなぜ消えようとしているのでしょうか。
それではまた次回にお話しできればと思います。