2022/02/08温度が関係
かつて日置瓦は高級品として人気のある商品でした。
いぶされた瓦の風情は、日本建築の美でもありました。
社寺建築には好んで葺かれて、その雄大な屋根の姿は壮観でした。
加世田の中心街で純和風の家造りに載せて以来、もう長いこと日置瓦とは縁がありません。
というより、もうこの世に存在しないのではないかという位見かけなくなりました。
そして今瓦屋根を希望する人は、圧倒的に陶器瓦に変わってしまったのです。
なぜ日置瓦は風前の灯状態になったのか。
考えられる一番の原因は、日置瓦が凍害になってしまい易いということが、一番
関係しています。日置瓦は焼成温度が800度くらいで作られています。
土の性質上それ以上に温度を上げられないのでしょう。すると出来上がった瓦は
吸水性を帯びて、冬の零下の温度では瓦が凍ることがあります。
これを繰り返すうちに瓦の表面は劣化し始めて、剥離やひび割れを起こすのです。
瓦屋根の凍害として知られるこの症状は、次第にお客様の知るところとなり、屋根材
として敬遠されてしまうようになったのです。
その点陶器瓦は1000度以上で焼成されますので、緻密で含水率の極めて低い瓦が
出来るのです。その上釉薬が施されますので、さらに丈夫なものが出来るのです。
うちでは以前、淡路瓦を主に使用していましたが、今では石州瓦に標準を変えました。
理由があってのことです。日本の3大瓦産地は石州、淡路、三州と言われます。
それぞれ石見地方、淡路島、愛知県の東部を指して言っています。
中でも石州瓦は土が良いものですから、焼成温度は1,300度の高温で焼けるのです。
すると固くて吸水率の少ない瓦が出来るのです。
日本で一番いい瓦と言われる所以が分かります。