2022/02/21古式なやり方
今の先生は優しく柔和な顔で話してくれます。
表情が怖い、威厳的、聞くに憚られる、説明が少ない、こんな印象のお医者さんは
今少なくなりました。質問でもしようものなら、黙って言う通りにすれば治るから、
という無言の圧を感じたものです。
それくらい患者とお医者さんには距離があったように思います。
それは私達建築の専門家とて同じようなものでした。圧倒的に専門の知識を持ち、
お客様は私達の言うことに、慎ましくして賛同せざるを得ない事も多かったのではと
思います。普通の人が知識を得るには高い本を買い、あるいは図書館で調べて自分なり
に理解しなければなりませんでした。
先日お腹の調子が今一つで、宇宿に昔からある医院に診察に行ったのでした。
先生は年配のお医者さんで、少し強面の印象はありました。
今の体の状態と症状を話しして、すぐに聴診器でお腹、背中の音を聞き、またお腹を
押さえたり、手で叩いたりして診察してくれます。
椅子の状態から今度は、ベッドに寝かされての触診を受けます。
この間先生からの話や、これからやろうとすることの説明はなかったように思います。
少々痛みを伴う診察ではありました。しかしこれが特段気になってしまったという訳
ではありません。むしろ古式の診察ではありましたが、基本に忠実な診方をする先生
だなと感心したのでした。思い切りが良くて、手際のいい診察で経験の豊富なお医者
さんという感じを受けたのです。
久しぶりに昔流の威厳を感じさせる診察を経験したのでした。
同時に今の患者さんには、評判はどうだろうかという思いもしたのです。
患者さんにいいタイミングで言葉をかける、これからやろうとすることの話をする。
これがあった方が断然いいのではと思いましたね。
お客さんに寄り添い、不安を解消することは、相手が人間であればどのような仕事で
あれ一緒ですね。