2022/03/26動くもの続3
今日は建具の種類を考えてみようと思います。
一口に種類と言っても何のことやら分からないことと思います。
機能的な開き勝手の事を今迄話してきました。建具の種類は建具を構成する部材の
違いや、昔から呼ばれている建具の名前によって分けることにしました。
その主なものは框戸、フラッシュ戸、障子、襖、戸襖、観音戸が代表的な建具になります。
框とは戸の外枠を言っていまして、框を組んで建具を作ることからそのように
呼ばれています。幅15センチ位の框が上下に二本、横向きに2~3本入ることが多いです。
框組と言われる骨組みのつくり方で、建具の強度を持たせてありますので、緻密で繊細な
構造の仕口で作ることになります。
出来上がってしまえば中の様子は見えませんが、仕口は職人技の精巧な技能が隠されて
いるのでした。フラッシュ戸は桟を組み、表にクロスや和紙等を貼ることが出来るような
作りです。面で構成されますので作り方はそれ程難しくはありませんね。
障子は和室になくてはならない建具と言えます。組子と障子紙を通してほんのりと明るさを
通す障子は、和室の落ち着きと趣をより引き立ててくれるものです。
和室が減ってきた今の家造りですが、床の間と共に後世に残したい造りかたです。
襖は建具ではありますが、表具屋さんという職種の方の手によって作られています。
障子紙やふすま紙、掛け軸などの紙を貼ることは、日本建築にはなくてはならない職種
の人達でした。
襖は柄の入った表装の下に、幾重にも下紙が貼られていることを見たことがあるかと
思います。主に紫の色をした紙ですが、重ね張りをして丈夫なものに仕立ててあります。
戸襖は主に和室側と洋室側に建具が面している場合に良く採用されるもので、襖紙を
和室にクロスを洋室に貼ることが多いですね。
観音戸は折れ戸のような作りをしていますが、微妙な違いがあります。
折られた扉ごと回転するようにしてありまして、ガイドが無いことでこの様な動きを
することが出来るのです。仏間の扉には今でもみられます。
建具は出入り口の機能は勿論、住まいの品格を左右する重要な役目をも担ってもいます。
センスのいい家だねと感じる住まいは、建具の出来栄えによって印象が決まることが
多いのです。建具を自由に考えてオリジナルなデザインで作る喜びは、既製品にない良さ
になります。