2022/03/28勤務地続8
会社の副所長と所長が現場でうまく行かないと、私達下位の社員はどのような
振る舞いでこれから仕事をすればいいのか見当がつかないのでした。
有馬さんは転職組の人で、前職の会社時代のことをたまに話すことがありました。
その会社では所長をやっていて、自分はこのようなやり方で今までやってきたと
いうようなことを時々仰るのでした。
数少ない転職組の人にとって、新しい会社の文化に馴れないこともあったのではと
推察されました。そしてかなり自分の評価を気にして生きているような所があって、
所長の動向にはいつも注意を払っていたのでした。
有馬さんが言いたかったのは、「私の業務の進め方に同意を示してくれない、所長の
考えが分からない」ということです。
この様なことで、一緒にいた我々も何か気まずい雰囲気を感じていたのでした。
ただ公平な目で見ると、有馬さんはやや過敏な感情を持っている方で、独り相撲の
出来事に思えたのです。
下位の社員が現場所長に物申して、態度を変えてくれと言われてもあまりいいことは
ないように思います。設計部の板野課長も彼には、ある仕事の件で不信感を持っている
様子です。何やら約束していた事の返事がいつまで経っても貰えず、かなり立腹して
いるのです。結局有馬さんはしばらくすると広島支店への転勤命令が出て、現場から去って
いったのでした。
会社のサラリーマンは、良くも悪くも上司に恵まれてなんぼということがあります。
引き上げてくれる人がいるかと思えば、逆に辛く当たる人に出くわすこともあります。
やっぱりそこは選べない立場に居ますので、どうしたら上の人から気に入られて、
可愛がってもらえるのかに思いを致すことが大事だと思うのです。
それが毎日の仕事をやり易くして、いい仕事が出来る元になるはずです。
その後桐畑所長は、学校の後輩にあたる土井さんを連れてきて現場を立て直したのです。
人柄がよく人間関係の機微も良く分かる方で、現場はうまく回り始めたのでした。