2022/04/30人が育つ
家を造りたいと思う人が、最初に希望するのは木造での家造りです。
その割合は8割と言われ、この傾向は昔から変わらずに続いています。
最終的には、色々な事情から6~7割に下がってしまいますが、やはり木の持つ
やすらぎや温かさを家造りに求めていることが分かります。
家造りを計画して進めるのはお客様ですが、実際の工事現場で作業をするのは
大工さんになります。
大工さんは一定の修業期間を経ないと、一人前の大工さんには成れないものです。
古い言い方ですと徒弟制度と言いまして、学校を卒業すると同時に師匠と言われる
人に付き従い修業することになります。ところがこれですと師匠としての力量と
人間としての資質や器が揃わないとうまく弟子は育たないことになります。
建築作業の頂点に位置する職種の大工さんはその昔、と言っても数十年前までの
ことですが、大工としての技量もさることながら、人間的な資質も備わっていた
ものでした。
しかし時代と共に家造りの姿も変化して、今では大工さんに、そこまでの役割を
求められているわけではありません。勿論今でも大工さんは建築の中心職種である
ことには変わりはありません。それで学校を卒業すると、大工になりたいと希望する
人は、専門の養成所に入り、一通り初歩的な技能と座学を2年間で学ぶのです。
そのような経過を経て、師匠と呼ばれる人に預かってもらいながら修行する人が
大半でしょうか。
先日作業の合間に大工さんと話すことがありました。
その話の中にちょっと気になることが二つ程ありましたので、お話ししたいと
思います。応援を貰った若い大工さんのことですが、巣立つ前に師匠の元を辞めた
らしいのです。理由を聞くと「師匠は何も教えてくれなかった」ということです。
勿体ないことをしたなと思いつつも、分かる気がするのでした。
思うにこの師匠さん、仕事人として一流の腕をもっている方だと推察されます。
そして自分の信念を強く持って働いている方だとも思うのです。
しかし若い大工さんにしてみれば、何時まで経ってもボード貼りと材料運搬では
自分が成長しているという実感が持てなかったのだと思います。
この辺りは次回以降詳しくお話しさせていただきたいと思います。
それではしばらくの間ブログはお休みさせていただきまして、5月6日に再開
したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。