2022/06/23中間
今ではめったに造らなくなったものがあります。
無くてはならない物だったのですが、時代と共に少なくなり、今では僅かな
存在になりました。
それは縁側と仏壇です。縁側は暮らしに深く関わりながら、使い勝手の非常に
良いスペースだったのでした。少なくなったのは日常生活が都市化したことと
地域コミュニティの変化に伴うものでした。
その縁側どのようなものであったのか。そこはちょっとした物を干したり取り込ん
だりする、広い勝手口のような役目でもありました。
洗濯物や季節の農業作物を掛けたり広げたりして、重宝な場所だったのです。
急な俄雨がやって来ると、庭から放り投げるようにして中に取り込んだものです。
また地域では、やってくる隣人や知り合いの方とのコミュニケーションの場でも
ありました。
沓石に足を掛けながらお茶を飲んだり、話が出来るのも縁側です。
滅多に見ることがなくなった縁側ですが、居心地がよく使い勝手の良い空間は
現代の住まいにも取り入れたいものです。
縁側の特徴は外に向かって開かれていることですね。履物をひょいとつっかけて
すぐ下りることが出来るところも良い所です。
内だけれども外のようでもある。このような曖昧な空間が住まいにあることで豊かな
家庭生活を営むことが出来るのです。
現代に於いては、特に都市部では敷地が思ったように広くはないこともあって、簡単な
ことではありませんが、何か工夫をしたい所です。
例えば軒先を広くとることも一例ですし、デッキやテラスを設けてリビングや和室に
緩やかにつなげることもいいでしょう。
また敷地に余裕があるようでしたら、柱を建てて屋根を更に伸ばす考え方もあります。
すると更に奥行きが確保できて、余暇を多様に楽しむ場が出来るようになります。
この時に気を付けることが一つあります。軒先を深くすることは、日中の明かりが
それなりに制限されやすいということです。
採光の事と暮らし方は、生活の質の点からも充分に考える必要があります。
その上で外でもない内でもない中間的な所は、豊かな空間となり、贅沢な暮らし
が出来るのです。