2022/07/15空気に漂うもの3
柳沢幸雄先生がシックハウス問題や化学物質問題に関わるようになったのは、何を
おいても水俣病があったからだと言います。
公害の第一号として水俣病は世の中に知られるようになったのですが、チッソと
水俣病患者の激しい対立を見て、「これは許せない」という感情からだと言います。
今なお室内空気を吸うことで、シックハウス症や化学物質過敏症に悩まされる方が居る
事は、建築屋としても歯がゆい思いをしています。
守ってくれるはずの法律があまり機能せず、小手先の対応を打ち出しても、こじらせて
しまった人の健康を取り戻すのは、容易ではありません。
またいつ自分がそのようなことになるかもしれないという心配も付いて回ります。
であれば家造りそのものを、改善していかなければならないと言う結論になるのでした。
また柳沢先生は、少なくない人が住まいからの影響を受けて、苦しんでいるという事を
ぜひ医療従事者には知ってほしいと言っています。
また今現在置かれた自分の環境から、体を守るために出来ることもあります。
それは自分の鼻を頼りに暮らすという事です。拍子抜けするようなことですが、これは的
を得ていて、大事にしてほしい初歩の気づきでもあります。
嗅覚はわずか数分で効かなくなる特徴があり、最初に覚えた刺激や鼻を衝くような感じは
あっという間に無くなってしまうのです。
この事は人間が持っている防衛本能と言ってもいいと思います。直で避けたいと言う体の
反応を見逃すことなく活かすことが出来たらいいですね。
他にも家具や家電、車等は規制が掛かっていませんので、より強烈な刺激臭を覚えることが
あります。生活全般に関わる事ですが、是非自分の体は自分で守ってほしいと思っています。