2022/12/13続、登録される
先日「伝統建築工匠の技」が無形文化遺産として登録されたと言いました。
17種にも及ぶ職人の手による仕事は希少で、木工と茅葺のことを話ししました。
今日はそれ以外の建具、石場立て、左官のことについて考えてみたいです。
その前に南九州に伝わる木造工法の呼び方が、独特であることをお話しします。
鹿児島、宮崎にその呼び名が残っていて、薩摩藩の影響下にあった地域でそうなの
かと思います。ですが由来については誰も知りませんね。
ひょっとしたら私の勉強不足かもしれませんが。
それが「ウドコ造り」と「キャクロ造り」と呼ばれているものです。
確かにそのように昔の大工は言っていましたし、今でもそうです。しかし古民家を
扱う工務店や古老の大工でも「昔からそう言われている」というだけで、詳しくは
知らないのです。
当てはまる漢字も判らないところで、もし知っている方がいましたら是非教えて下さい。
話は飛びますが「石場立て」という工法も、鹿児島では誰もそのような言い方をする人
はいませんね。大きな楚石の上に柱を立てることを言うのですが、初めて聞きます。
それもこれも昭和25年に建築基準法が初めて制定されて、基礎をコンクリートで作り、
そこに土台を敷き、柱を建てる工法が正当とされたのです。
それでこの時以来伝統的木造工法は完全に封印されたのでした。今では社寺や仏閣、
古民家の修繕でしか見ることはありません。
それで独特な言い方は、だんだんと死語のようになってしまったのではないかと思って
います。誰もこの工法で家を造らなくなって、半世紀以上が過ぎてしまったわけですから
そうなるのも自然なことです。鹿児島で言うウドコ造りが石場立て、キャクロ造りが差し鴨居
工法になるのかなと思ってっています。
ここでやっと建具のことを話すことになりました。
建具は住宅の機能に無くてはならないアイテムになります。日本の建築には障子と襖が主に
立てられ、雨戸には板戸が有ったのでした。障子や書院の建具は繊細な組子と芸術的な
価値観を醸した出来栄えです。今この工芸品のような建具を作れる職人さんは本当に少なく
なりました。
左官の漆喰壁や和壁の塗り壁は、その良さが改めて認識されています。伝統的な壁仕上げ
は下地を小舞竹で編みこんで、土壁を塗っていました。