2020/11/26一人の不正から
過日鹿児島県建築士事務所協会から2人程来社があり、5年ごとにある審査と運営状況の
調査が行われました。どこの設計事務所にも等しく立ち入り調査が行われるので、
これは仕方がないと思っています。今回の調査官は若い人でしたが厳格な方できっちりとした
調査を受けました。日常の業務でおざなりになっている所が少々あり指摘されました。
あくる日には早速改善報告書を送り一件落着としたのでした。
あの事件があってからというもの建築士を取り巻く環境は一変しました。
あの事件とは、姉歯事件と言いまして一級建築士の姉歯氏が起こした前代未聞の一大事件に
なります。2005年ごろ構造計算の偽装事件が発覚したのです。
マンション建設における荷重計算を、意図的に過少に計算することでコンクリートと鉄筋
の量を減らし、マンションを建設したものです。その数20数棟と言われています。
デベロッパー、構造計算事務所、建設会社、販売会社が利益を確保するために組織的に
犯した犯罪とされましたが、なぜか罪を負ったのは姉歯氏一人という結末になりました。
住んでいる人には気の毒なことです。自費での再建築に伴う2重ローンや住み替え費用を
捻出しなければならず苦境に陥ったのでした。
それからというもの相次いで法改正がなされ、瑕疵担保責任保険の強制加入が始まり、
建築士事務所の手続きが事細かに決められ書類作成や業務量は大幅に増えたのです。
今回の調査もその一環で行われたものでした。その影響は大きく一番応えるのは保険料を
7~8万円を納めないといけないということです。(一棟当たり)
また建築士の資質を判定する講習と試験も3年毎に行われるようになりました。
大きな負担を感じながらも決められたことでありますので仕方なく?従っていると言えます。
一人の建築士が行った悪行は膨大な影響を業界に与えてしまいました。
性善説に基づいた建築士制度がこれ以上棄損されないようにと願うばかりです。