2020/12/01木材の乾燥6
木材は乾燥の仕方ひとつで、瑞々しい状態で「活きた木」として使用されるのか
片や死んだも同然の「ミイラの木」として使用されるのかに分かれると言うことを
申し上げてきました。
木の本来持っている特性は保湿性があり、温かい肌触りがすることですね。
夏場の蒸し暑いじめじめした室内は、木材が湿気を吸収してくれてさっぱりとした
気持ちになれます。OB客がよく口にする言葉です。
冬場はというと夏に吸湿した水分を、ゆっくりと放出し始めますので、
冬特有の過乾燥の状態を和らげてくれます。
またのどを痛めることも少なく、インフルエンザから身を守ってくれるありがたい建材です。
木のほんのりとした芳香は、心からの安らぎを人間に与えてくれ、自然と
副交感神経が活発に働くことで、免疫力を回復すると言われています。
このことは「百聞は一見に如かず」のことわざ通り、住んでみないとその良さは実感
できないことから是非体験をしてみることをお薦めします。
勿論木が百パーセント優れていて完璧、と言えないこともあります。
柔らかいので傷がつきやすいことはその一例でしょうか。
それさえも見方を変えれば、人体に優しくフィットして足が疲れにくくなると言えます。
そのような木の長所が十分に発揮され、人にやさしく寄り添うように出来るのは
何といっても活きた木の状態で使用されることですね。
木の細胞が破壊されることなく、瑞々しさを持っていることが何より肝心です。
人工乾燥の木はもはや「木とは呼べない代物」状態ですのでこの様な良さを期待できません。
楽しい家が自然乾燥の物をといつも言っている理由はここにあります。
柱、梁は「芯持ち材」と言いまして樹芯(木の中心)部分を材の真ん中に取り込んで
製材されます。
人工乾燥材の柱、梁を見ると分かることですが、例外がない程ここに大きなひび割れ
が入っています。部分的なというより木材の中心部を、空洞が貫き通しているのです。
外からは見えませんが、正直な気持ち「これは怖い」と思ってしまいます。
木の強度は当然のように落ちていますので、使うのをためらってしまうのです。