2021/06/10変遷
今や建築の図面を書くのにCADは欠かせなくなりました。
その進歩は著しく年々バージョンは上がってきています。作図において初期の頃の
物は、大きな広いドラフターに原稿用紙を置いて、実際に現物として書き上げて
行くものでした。それまで手書きで人間が書いていましたので、これを見た時は
驚きましたね。実際に器械が鉛筆を握り作図してくれますので、見とれるような思いで
した。ジィ、ジィーと音を立てながら線が描かれるので、綺麗で早い図面が
出来上がります。人間の手による手書きは線の濃淡を、手の力加減と鉛筆の選択でかき分けて
いたのです。それで描きだされた線は生き生きとして、図面に命を吹き込まれたような見事な
図面に仕上がるのでした。たかが一本の線ですがされど線、職人的な技能で描く設計者も
いたのでした。それぞれ個性のある図面は、どこの設計事務所の作品だなと分かった
ものです。それで初めてCADで出来た図面を見たとき「何とのっぺらとした図面だ」と
感じたのです。
抑揚のない線には、平板な印象が強く、慣れるのに時間が必要でしたね。
一方でCAD図面は正確で、統一された記入は間違いが少なく、安心感はありました。
誰が書いても(オペレーター)一様で、ばらつきがなく書かれた図面は信頼のおけるものに。
器械が作図するわけで、至極当たり前なことですが。
その後程なくしてモニターでの作図になり、コピー機で印刷されるような今のやり方
になってきたのです。かつて事務所にあった大きなドラフターや青印刷機は、もうずいぶん
昔に消えてしまいましたね。今はビジュアルな表現と3Dも出てきて、
更に進化してきています。