2021/08/22根っこに芯がある
鹿児島は宮崎に次いで杉の生産量の多い県です。
年々そのストック量は増えて、今伐採の時期を迎えています。
杉は大きくなり過ぎても、今度は伐採や搬出に手間が掛かりますので
旬を逃さずに切り出せたら一番いいです。
田舎の山も既にその時を迎えていまして、天を突くような勢いで伸びています。
都会に出る時、父と植えた木です。年月を素直に年輪に刻んでいると思うと、
早くこの資源を有効に使えないかと気がはやります。
さてその杉は、杉苗生産者さんから買ったものですが、杉の根っこは横に広がり
とても植えやすいものでした。実は杉苗には「挿し木苗」と「実生苗」とがある
ことを知っていますか。これは林業関係者でない限り知ることも無いのでしょうが。
挿し木苗は杉の枝を切り取り土にさして作り、実生苗は種を土に撒き芽が出てくるのを
待ち苗として市場に出すのです。
挿し木苗の根は細い根が無数にありますが、実生苗は芯根が真っ直ぐ下に伸びている
のです。野山を散策していると大きな樹木の下に、生まれたばかりの小さな木を見つける
ことがありますね。引き抜くと白い芯根がスーッと伸びて、その長さに驚くことが
あります。大きな樹から落ちた種が月日を経て、芽を出したものですね。
木の生命力と再生循環する力を、図らずも知ることになります。
このような苗はこちらではあまり見掛けませんが、山にとってとてもいい状態の森に
なります。説明するまでも無く、樹々の芯根が深く地中に伸びることにより、
地盤が安定し災害に強い山になるということです。近年の土砂災害は人工林の山が
崩れることが多いです。土砂災害現場で倒壊した木が晒した木の根っこを見てください。
芯根のある木は見ませんね。