2021/12/18違う素性
同じ山の木だと思われるのに、木の表情は違っています。
先日南薩の道を通っていると、切り出されたばかりの杉の丸太が小高く積まれていました。
今木材不足で山の杉林が良く伐採されるのを見掛けます。樹齢は40~50年くらいで
しょうか。車から降りて木を良く見ると、通直材で素性の良いことが分かります。
柱、梁とするには十分な生育がなされています。飫肥杉と見られてやや年輪は広いものの、
癖のある木は混じっていません。日当たりの良い所に育ち、良く枝打ちや間伐のなされた
理想的な杉のようでした。
もっとも私達より木に詳しい山師によると、もっと理想的な材木にすることが出来たと言う
かもしれません。先程十分な生育がなされていると言いましたが、「欲を言うと後10年我慢
して欲しかった」と。確かに伐り時ではありますが、更に10年置くことでもっと目が詰まり
成木として緻密で申し分のないものになると言うことです。
この十年はそれほど見掛けは大きくなりませんが、その分木の内側が充足されて、年輪が
狭くなるのだと言います。山の立木を見て杉のてっぺんが丸くしていたら、上に伸びること
が止まり、内側の育成の時期を迎えているのだということです。
もう一つ木の生育では特徴的なことがありまして、南九州特有のことで、色味が千差万別で
あるということです。樹芯の色味の事を言って、鮮やかなピンク、濃い赤身、更には黒芯と
呼ばれることもある黒みを帯びた色味など、濃淡の幅が極めて大きいのです。
同じ山でも木の立つ位置によって違いが出てくるのです。原因として考えられるのは、
土壌の違いによるものではないかと言われています。土が鉄分を多く含んでいると濃い色や、
黒芯になるのではないかと言われます。重くて強いのですが、真壁の表しには個性が強すぎ
るのかもしれませんね。
とまれここ何年も山林に関心が行くことはありませんでしたが、豊富な資源が一過性に終わ
らず継続的に活用されて欲しいですね。