2022/01/29木を活かす4
木を活かすと言うことは、木の事を良く知りその特徴や長所を、最大限に発揮させる
ことだと考えています。しかし木を単に無機質な建材としてとらえている人が多い
のも事実です。私達は木のことが好きで、木の働きに期待する方の家を造っています。
人にやさしい木の温かみのある家で、健康的に過ごしたいと思っている方です。
ですが私たちが今迄述べてきたことに、共感を覚えない方も残念ながらいらっしゃいます。
私達の家造りが絶対に正しく、唯一のものだとは思っていません。
ですがいくらかでも木のことに触れ、真摯に向き合う姿勢があれば木が本来持つ
素晴らしい働きを、改めて知ることが出来ます。
人工乾燥された木材をつぶさに見てみると気づくことがあります。
本来の木の有り様はすでに無く、ただの無機質な建材になってしまっているのです。
生きている木を100度を超える乾燥窯の中に入れて、一週間も経過することを考えると
容易に想像が出来ますね。
もはや細胞は破壊されてしまい、木の持つ良さは完全になくなってしまいます。
私達はこのような木を「ミイラ化された木」と言っています。木肌の色が悪くくすんだ表情
をしていますので、一目して分かります。また木の小口面(断面の様子)を見ると樹芯には
大きなひび割れが入っているので驚くのです。
元から末まで途切れることなく、このひび割れは入りますので、一抹の不安を感じる
のです。柱、梁になる木が、このような傷ましい木ではどうだろうかと素直に思うのです。
強度や働きに於いて、人工乾燥材には多くを期待できそうもないと率直に言わざるを
得ませんね。
生きた木を使い、呼吸する働きのある自然乾燥材を使った家造りは、やさしい空気に
包まれて温かい家となります。そしてこのような家造りは、身近に有ることを沢山の人に
知ってもらいたいと切に思っているところです。