2022/04/14豊かなところ
先日吹上の砂浜に行く機会がありました。
運動と散策を兼ねて永吉川の最先端迄歩いたのでした。かめまる館で地元の野菜を買って
からのことです。そこは川の最下流、川の水が長い旅を終えてたどり着く所が、東シナ海
の大海原です。川の流れが海に流れ注ぐ砂浜の風景はとても気に入っています。
それも砂浜に流れ着く風景は最上だと思っています。海に足を運ぶと、決まって川口まで
進み、さわさわと音を立てながら流れる澄んだ水の音を聞くだけでやってきてよかったと
思うのです。
中流では淀んで濁りが見える川面も、すっかり清流の流れに変わっています。
海に近い所の川底は砂の堆積があって、この砂が流れる水を浄化しているようです。
砂浜の水辺がきれいなのは、押し寄せる海水が砂によって洗われ、浄化されるからと
聞いたことがあります。川の水が海に辿り着く様子は、大自然の循環を見るようでしばし
見とれてしまうのです。
さてその浜へ出る砂地の道端には、野生のグミの木が所どころ自然な状態で生えて
います。今ちょうど赤い実を豊かにつけて、ついばむのを待っているかのようです。
ひと房をもぎ取り口にすると、甘酸っぱい味覚が口中に広がります。久しぶりに味わう
自然のグミの味は懐かしいものでした。
この低木のグミの木ですが、他の雑木にはない特徴を持っています
ので紹介します。建築の道具にハンマーというものがあります。
その柄の部分にこの木を使うと作業が大変楽になるのです。特に斫という作業においては、
大きなハンマーを振り上げてコンクリートや石を砕くので、力のいる作業です。
柄の部分がグミの木だと、よくしなりその作用により力が加えられ、よく作業が進む
のでした。また手に受ける衝撃も少なく、働く人にとって随分と助かるのです。
また農作業は機械化が進んだとはいえ、多くの手作業をしなければなりません。
鍬や掛矢には最も相応しい柄になるのでした。
日常生活でも布団叩き棒にはなくてはならない木でしたね。
田舎の里山はいま荒れていますが、生活の知恵が一杯詰まった所でした。