2022/05/15同2
設計事務所勤務の適性は、多面的に考えないといけないところがあります。
まず建築の設計を志す人は、デザインや建築美術のことに関心があり、建築そのものが
好きであることが一番です。
それらは学校で学び、あるいは職場で経験を積むに従って上達するのですが、資質的に
備わっている人であれば尚更言うことはありませんね。
このようなことを言うと身も蓋もないのですが、「好きこそものの上手なれ」という言葉
があるくらいですから真理と言えます。空間の認識やデッサンする力は、建築設計を目指す
人にとっては必須とも言えます。
建築の学生はパースやスケッチのことを一通り学び、それを履修するので出来ないということ
はありません。しかし一部に天賦の才を与えられたような人がいて、わけもなく綺麗に、
そして早く描くことの出来る人がいるのです。
同じ建築の仕事人なのに、そのようなものを見せられると、かなわないなと思うものです。
太い鉛筆をスラスラと走らせ、あっという間にクライアントの前でスケッチを描くことが
出来るのです。
それを見せられたお客様は感動して、もうこの人に設計はお任せしてもいいと思うのです。
それくらい3Dで描く建築のスケッチは、説得力があるのでした。
理想的な設計者の姿を言いましたが、では実際に働く職場はどのようなことになっている
のでしょうか。
設計事務所には日本を代表する大手建築設計事務所から、所長を含めて2~3人の家庭的
な雰囲気の事務所まで様々な建築設計事務所が存在しています。
設計事務所に入社した社員が、デザインやスケッチが上手とは言え、実務的な作業はまた
別なことで、建築設計の基礎を習い覚えていくことから始まります。
所長や事務所のやり方やカラーを覚え、身に付けることが先です。これが数年続くうちに、
色々な建築を経験することが出来て、徐々に実力がついてきます。
そしてここまでくると自分の仕事に自信が持てるようになります。すると会社に残るのか、
自分でもやってみようと思うのかを選択する時期が必ずやってきます。
設計事務所のことをあまり一般の皆さんが知る機会はないと思います。
高度な専門知識を必要とするプロフェッショナルな仕事なのですが、意外と報酬が少ない
のです。結婚しても生活がやっていけないものですから、仕方なく建設会社に勤務した
同じ年の知人もいます。次回にもう少し設計事務所のことをお話ししたいと思います。