2022/05/16同3
建築設計事務所での勤務についてお話ししてきました。
実は設計事務所での設計という意味は、いくつかの業務のことを指しています。
華やかなデザインと独創的なアイデアばかりに目が向きますが、実はそれを
支える裏方の役目を果たす業務が存在しています。それは構造設計という業務
です。奇抜で斬新な設計の建築はスポットライトを浴びて注目されますが、
えてして特異な形をしていることがあります。
同じ建築士の視点から見ると、無理をしている建築だなと思うのでした。
同時に大きな地震時には、あそこの部位は結構な弱点になるのではという見方を
してしまうのです。
そのような建築は鹿児島市内でときたま見かけるのです。荒田にある十文字形状の
建築はそのお手本のようなものです。なんでも大手の建設会社の設計部にいた方と
聞きますが、コアな部分のみで、大きく跳ねだした建築のモーメント荷重を支える
ような作りになっています。
人様の建築ですが、余計な心配が湧いてくるのは私だけでしょうか。
また下の階には何もないのに、4メートルはあろうかという庇の上に、上階が
乗っている建築は割と多いものです。ピロティと言われるもので駐車場を確保したい
時や、敷地が狭小な場合によく採用される手法になります。
これらの建築を可能にしているのは、言うまでもなく構造計算をして裏付けが取れて
いるということです。この作業を行い建物の安全を確認する人も設計事所にいます。
それが構造計算や構造計画を専門にする建築士です。ちなみに先程のデザインや間取りを
考える作業を意匠設計と言います。さらに設備設計を担当する人間もいまして、電気、
水道、弱電、機械設備等はこの方達の守備範囲になるのでした。
更に建築設計事務所の作業は設計図を描き終えたら終わりではありませんね。
工事がスタートすると、設計図面通りに現場が出来ているかをチェックする役目も
担っているのが設計事務所になります。皿カンと言われる、設計監理を行う人が事務所に
は存在しています。この方達も建築士の資格を持った所員です。
参考までに建築会社が自らの工事の段取りやチェック、工程管理を行うことは竹カンと
言われる現場管理者がいます。建築設計事務所には、このような建築士さんが
所属しているのでした。