2022/06/27やさしいこと
一人は月刊誌で言っていました。もう一人は新聞のコラム欄で語っていました。
同じような趣旨のことを最近言っていて、面白いなと思ったのです。
「現代人は他責に逃げ込んだ」と言うのは、元アサヒビール社長の福次茂雄さんです。
スーパードライを売り出し、下位に低迷していた同社をトップ企業に押し上げた
功労者ですね。
また「今の世の中はやさしいのか、自分がうまく行かなかったり結果が出ないと、
廻りのせいにしたり、社会に原因があると思う人が増えてきたように思う」と言います。
これは国見高校のサッカー監督をして、六度の選手権を獲得した山嶺忠敏さんです。
時代の変化と共に人間のあり様は変り、人の常識や社会通念は変って行くものだと
思ったのです。
それにしても功成り名を遂げた年配の方が、同じような考え方を同時に言っているのは、
多くの高齢者がそのように思っているのかもしれませんね。
私も古い方の人間になってしまいましたが、そのように感じることも無くはありません。
「やさしい時代になったな」と折に付け思うからです。
また野球解説者で元ライオンズ監督の広岡達朗さんは、「人が生きていくうえで侮辱を
受けたり、屈辱を経験することは絶対に必要だ」とまで言っています。
全体的にやさしく思いやりのある社会になってきたことはいいことで、個人を尊重し
かつ上位者が下位の者に丁寧な言動をするようになってきたことを感じています。
これは古い価値観や時代を生きてきた人間には実感としてよく分かり、理想の社会に
近づいたなと思うのです。
ただしそのことで、人間が自立して確固たる思いを持った強い人間になることが出来る
のかという事を同時に思うのです。
時に厳しい叱責や辱めを受けると、自分が否定されて価値のない者のように思えてきます。
でも結構これが自分の弱点だったり、克服して乗り越えなくてはならないことであったり
します。またそのことではっと目が覚めて、以後の生き方を変えるきっかけにもなる
のでした。
後になってあのようなきついことを言われて、なにくそと発奮して頑張ることが出来たと、
感謝すら覚えることは多くの人が経験することですね。
それは自分にある能力や潜在力を引き出してくれることでもあるからです。
「修せざるには現れない」と道元が言っていることも同じようなことですね。