2022/09/03ロマン
集落の名前がイコール苗字であることは鹿児島ではよくみられることです。
私の生まれた実家も君野集落という20数戸の小さな寒村です。
この小さな集落でも同級生は10人を数えて、それは賑やかでした。自ずと活気に
あふれていましたが、日本の各地域にみられる過疎化の影響は集落も同じで、深刻な
所まで来ているようです。
集落の共同体としての活動や行事は、もう老齢化した人だけではやっていけなくなり、
それを伝承することも困難な状況です。「お寺行事や権現祭り」は輪番で行われ、
共同山の手入れ、水源地の清掃、道路の草払いは、皆が協力し合っていた姿を覚えて
います。どんどん時代が下ると、そのようなことがあったことさえ知らずに、忘れ
去られる日が来ようとしています。
さて君野集落の隣に「銅金」と言う集落があります。
小さな峠があって手前が銅金で峠を越えた方を「後銅金」と言います。
いずれも小さな集落で10戸もあろうかと言うくらい小さなものです。私が小さい頃、
村の古老たちから聞いた話が有ります。
それは集落に3ツ子が生まれた時、どこかに埋もれている金銀の財宝が見つかると
いうのです。集落の人達はそのような言い伝えの話を代々聞かされて育ち、知らない者は
いないはずです。確かに銅金とは聞いたことのない珍しい名前です。
古老の言うには財宝は埋もれていて場所は分からない。しかし先程のようなことが起こる
と金銀の財宝が見つかるというのです。
それで銅金と言う名の集落になったのだといいます。まことしやかな話で小さい頃は
信じていましたね。では元々どこにその金銀があったのか。
実は6~7世紀の古い時代、集落に大きな寺があったことが郷土史には書かれています。
その事と関係があるかのような伝わり方をされているのです。
火の無い所に煙が立たないように、根も葉もないことではないのかもしれませんね。
もう一つ、権現さんは集落の中心に位置して鍾乳石の洞窟となっています。
この洞窟に犬を放したところ、南さつま市の内山田に現れたという話があります。
子供達数人で松明を焚きながら奥へ入ったことがありましたが、数十メートル入った所で
穴はふさがり崩れていました。尾ひれの付いた話だったかもしれませんが、なんとも
ロマンがあるのです。