2022/09/22当事者
谷山にある歯科医の待合コーナーにある本。
この本に目が釘付けになったのは約1年半前のことでした。
ガンになった緩和ケア医が語る、「残り2年の生き方、考え方」と言う本です。
歯の詰め物が餅と一緒になって取れたので、「その詰め物を持ってきてください」
と言われて急いで駆けつけたのでした。
待ち合いで少しの時間読んだのでしたが、これは自分で買って読まなければ落ち着か
ないだろうと思い、早速購入したのでした。
看取りを専門にする関本剛院長先生は、40代の働き盛りの緩和医です。千人以上
の方を終末医療でお世話していましたが、ガンを発症して余命2年と宣告されて
いました。その関本剛先生が4月に亡くなっていたことが明かされました。
緩和ケアとか終末医療と言っても、なかなか日常体験することはないことです。
その医療者が今度は患者として生きなければならなくなったとは何という運命で
しょうか。
詳しくは本を読んでもらえばわかりますが、題名の通り与えられた2年をいかに
生きるかを考えてきたのですが、薬石効なくついに天に召されたのでした。
砂時計のような時間が日々意識される中で、これまで通り変わりなく診察を続け、
自分の時間を楽しむことも忘れずにやってきたようです。
刻々と余命が尽きようとする中、自分が話せるうちに自身の事や家族の事、病院の
事を動画に収めて後を託しています。
その謙虚な姿勢と強さには胸を打たれるものがありますね。医療者と言えども自分の
終わりを受け入れることは、簡単ではなかったと思います。
それを自分の運命として受容するのに、どのような葛藤があったことでしょう。
遅かれ早かれの人生ですが、何より感謝しながら現在を生きる姿を強く示してくれた
のでした。 合掌。