2020/12/05赤ちゃんが泣き止んだ
工務店にとって完成見学会はエンドユーザーの方に見てもらう貴重な場です。
生活感のある家造りを見ることで、自分達に相応しい家をよくイメージできるからです。
競うようにして建てられたモデルハウスは、確かに気持ちが高揚して夢心地の気持ち
にはなれます。でもどうでしょう、帰路についたときに「私達には縁遠い家だね」と
話し始めるのかもしれませんね。
最近同業の方と話すことがありましたが「夢を語ることはとても大事、同時に現実の話は
もっと大事」ということを聞いたのでした。
打ち合わせでは長年の夢を精一杯話してもらい、その夢をかなえるためにどうするの、
という話合いはいことだと思いませんか。家造りに障壁の無い方なんていませんから、
知恵を出し苦悩しながら最善策を見つけ出した家造りは、家族にとってきっと良い思い出
になることと思います。
がらりと話は変わりますが完成見学会を開催した時の話です。
ちょっと前のことになりますが、それは隣同士での完成見学会になったのです。
うちとMISホームが左右に構えてのことでした。やがて小さい子連れのお客様が隣に入って
行くのが見えました。何事かあったようには見えませんでしたが、しばらくすると赤ちゃんの
泣き声がし始めます。一向に泣き止むことはなくむしろ泣き声は甲高くなっていきますので
とても気になりました。
一通り見学されたのでしょうか、家族は後からうちの会場にもやってきてくれました。
相変わらず赤ちゃんは泣き続けています。玄関をくぐり靴を脱いで上がろうとする時でした、
赤ちゃんは機嫌を取り戻したのか泣き声は静かに止んだのです。
顔は泣いていたせいか頬を伝うものがありましたが、ニコニコして上機嫌な様子に
代わりました。お母さんが子供を床に下すと、2歳くらいと思われる子供さんは、
拙い歩きではありますが、階段の4~5段を行ったり来たりし始めたのでした。
全く不思議なことでしたが、赤ちゃんの表情は一変して無邪気な姿に変わったのです。
お母さんも不思議そうな顔をして、何が起きたのか教えて欲しいという顔をしています。
赤ちゃんの中で五感的に何か感じるものがあり、赤ちゃんの素直な気持ちが自然と
出たのだと思うしかありません。家を造っていますとときに説明がつきにくい事が起こる
ことがあります。驚くことが多いのですが、本来人間は生きる力をたくましく持って
いるのではないかと最近思います。環境に順応しながら生きる根源を元々持ち合わせて
いるように思えます。ただ残念ながら、それを阻害しているものがあるのではないかと
思われてなりません。化学物質製品万能の時代ですが、そろそろ家造りはその考えを
改めてみるべきではと思うのですが。