2021/02/08銘木が消えた
銘木といえば品位があって素性のしっかりとした木材のことを言います。
ブランド木材と言ってもいいです。
秋田杉、屋久杉、吉野杉、木曽ヒノキ等が思い浮かびますね。
節がなくて木目が通り、色味が整っていて言うことのない木材です。
柱一本が3~4万もして普通の柱の10倍位しますので、とても高級な木材です。
ちなみに呼び名を割り角と呼んだりします。樹芯を含まない部分で製材されるので
節がありません。(ここ何年も手に取っていませんでしたので呼び名も忘れていました)
以前は和室の柱、長押(なげし)鴨居は銘木でなくてはならないものでした。
和風料亭や日本建築の伝統的な間には必ずお目見えして、凛としたたたずまいと
気品のある空間を醸し出してくれたのです。
日本材だけでは揃えられなくて、台桧や紅桧という超高級な外国材も持ち込まれたのでした。
それがいつからでしょうか、無節の割り角材が売れなくなってきたのは。
伝統的な和室が消えつつある今時の家造りでは、モダーンな和室、大壁和室(柱の無い和室)
が多くなり必要性が薄くなったのです。
それと新建材での疑似木材が流行り始めたことも影響しています。チップを固めた物で色や
寸法は揃っていますが、木本来の味わいはありません。所詮イミテーションの木です。
木材であっても無節材に価値観を見い出せなくなっているのは、より本質的なものを人々が
求めているからとも言えます。木材には本来節があって当然なことです。
その自然なあり様をそのままに活かすのが自然流な家造りと言えます。
人間は人工的な美しさに魅力を感じることもありますが、
時間とともに飽きの来ることが多いものです。
素朴で華やかさはありませんが、自然の木とともに暮らすことは人が理屈抜きに惹かれ
やすらぎと安心感を覚えるのです。