2021/05/08取らないと食えないが取っても
ずいぶん昔に建築士試験を経験したが、今は受験者数が減り易しくなったかというと
そんなことはないようです。建築はとても楽しい仕事なのですが、労働環境が厳しいと
若い人達に見られているようです。ゼネコンに就職してゆくゆくは現場所長の肩書をもらい
采配を振るう仕事に就きたいと思うものでした。そこには現場ゆえの苦労や長時間労働は
承知のこととして就職したのでした。設計会社も似たようなもので、図面の納期が決めら
れると夜を徹して頑張るのが日常でした。安い給料で働き、先生(この場合は設計事務所
の所長)の傍で修行できるだけでもありがたいと、無茶な理屈があったのです。
建築に携わる人が目標として目指すのが1級建築士の試験に合格することです。
その一級建築士にまつわる言葉がありまして、「取らないと食えないが取って
も食えない」と言うものです。
民間の厳しい競争社会で生きる建築士の実状をうまく言い表しています。
ただ資格を持っているだけでは駄目で、何かとがったもの、秀でたものをクライアントに
認めてもらわないとやっていけないのです。
しかしこれは何も建築界だけに限ったことではありませんね。等しく競争を勝ち抜くた
めに、受注をもらうために昼夜兼行で頑張る人が多かったのです。しかし今そのような企
業はブラックとされ甚だ人気がありません。
特に建築業界は一回り以上遅れている感覚がします。
そのような感覚を直感的に覚えて、若い人達は見透かしたように敬遠しているようです。
もっと現業で生きる人達を大事にする風土が醸成されないと、この先は暗いですね。
使命感だけで、好きというだけでは仕事は長くやっていけませんからね。