2021/05/15品質の確保
すまいの品質をどう確保するのかが問題になったことがあります。
それは永遠の課題でもありますが。15~6年前に起きた姉歯事件は衝撃的でした。
以来急速に変化した建築業界ですが、もう記憶に薄れた方もいるかもしれません。
おさらいしますとマンション建設にあたり、構造計算を偽装して建築したことが
発覚して大問題になったのでした。それ以来建築士の資質が問われ、性善説を
前提とした行政を見直す動きが進んだのでした。工事の過程で数度にわたる現場での
検査と瑕疵担保保険(契約不適合と言い方が変わる)の強制加入が義務化されました。
一握りの、いや一人の人間がしでかした悪行はとても罪深いものでした。
しかし見方を変えると、今迄業界が抱えていた矛盾と悪弊が一気に噴き出して、改善に
向かったことは評価できる事でした。
それは目に見えて欠陥建築が減り、本来の品質を確保できるようになったのでした。
まさに禍を転じて福となすとなったのでした。時代の流れは、消費者の保護と泣き寝入り
するようなことは許さないという、当たり前の時代に変わっていったのです。
そのような流れは業界も消費者も歓迎する所なのですが、今ちょっと疑問に思えることが
あります。せっかくできた本来の制度の趣旨から逸脱しないようにと願うばかりです。
まだ鹿児島では1~2例あるくらいだと思いますが、都会では需要があるようです。
言っているのはホームインスペクション制度のことです。
行政の検査や会社の自主検査とは別に第3者が現場の検査をすることです。
これ専門の会社があって、鉄筋検査や構造体の検査を施主に働きかけて、
事業として行っているのです。
打ち明け話になりますが、建築現場はどんなに適切に確実に作業しても、100点が
取れる事はありません。言い方は誤解を招きそうで苦しいですが、枝葉末節の部分
では必ず綻びが潜んでいます。しかしそれは建築の品質を確保できない、
期待した強度を損なうといったレベルにない微小な現象と言えます。
例を挙げますと、鉄筋を結束する鋼線がありますが、これが緩んでいるとか鉄筋に
汚れが付着しているとかのことです。依頼をもらうために危機感を煽ったり、
欠陥住宅を連想させるやり方で、営業活動をしていなければ幸いなのですが。
為の仕事になっていないことを祈るばかりです。何よりお客様との信頼関係はどうなるのか
があります。注意深く動向を見ていきたいです。