2021/05/16柱のこと
家の柱は家造りの中心となる部材です。
住いには80本くらいの柱が立ちますが、梁とともに荷重を支え構造耐力上
重要な役目を果たしています。柱は鉛直荷重のすべてを支えて、やがて基礎に伝わり
地盤に届くことになります。ちなみに梁は水平力や梁にかかる床荷重を受けて
柱に伝える役目をしていますので、柱と梁は強い家造りの両輪のような役目をしています。
さてその柱ですが色々な呼び方があり、それぞれの働きがありますので紹介します。
4寸柱とか3寸5分柱という呼び方で私たちは言っていますが、昔の尺貫法の名残で
120×120、105×105ミリのことですね。大黒柱と呼ぶ柱はリビングや和室の真ん中に
配置されて、その存在感は圧倒的です。最近の家ではあまり見ませんが、田の字型の間取り
で構成された家では、普通にあったのです。
中心に位置していますので、あらゆる方向からの梁の荷重がこの柱にかかっていたのです。
それで柱の寸法も5寸~8寸とかなり大きなものでした。もっとも8寸の寸法が必要かと
いうとそうでもなく、象徴としてあるいは家に風格が欲しい、という棟梁や主の意向が
働いたのでした。
新築祝いの席で主が「うちの大黒柱を見てくれと」と自慢出来るのもいいところですね。
大黒柱と似たものに心柱というものがあります。NHKで放送されて知っている方も
いるかもしれませんが。
法隆寺にある五重の塔(世界遺産)は、その心柱のあることが映像ではっきりしました。
文字通り中心に立っていて、この柱を中心にいくつかの柱が周りに配置され、梁が四方に
広がる構造をしています。昔の事ですからボルトや補強する金具などありません。
継手や仕口という木と木が交差する所は、大工の伝承された技術で組まれたのでした。
現代の家造りでは、通し柱に通じるものがありますね。出来るだけ一本物で上階まで
貫き通して丈夫にしようとしたのです。