2021/07/16職人が少ない
建築職人の数が少なくなってきました。
特に左官の職種では高齢化が進み若手をほとんど見なくなってきました。
平均年齢60歳を超えると言いますから、先々心配です。うちの左官も、「もういい年
だから、ここら辺で鏝をおきたい」と言って少なくなった余生を生きることにしました。
70の後半ですから十分に社会に貢献したのです。
なぜ左官だけが著しく減ったのか。若手が入ってこないという状況と仕事が少なくなって
きたことがあります。他の職種で大工さんは、人気があって子供たちに「将来就きたい
仕事は何ですか?」とアンケートを取ると決まって上位にランクされています。
もっとも男の子の希望ですが。
大工の養成学校はあちこちあって、座学と実践の基礎を教えてくれます。
そこには色々な経歴を持ってやってくる人がいます。物作りが昔から好きだったという
理由で、いったんは就職したものの諦めきれずに転身してくるのです。
一つには左官の養成学校がないこともあるかもしれませんね。
それと育て方にも問題がありそうです。若くして入ってきても下働きばかりで、何時まで
経っても鏝を握らせてもらえない。運搬と練作業ばかりでは、いくら修業とは言え
続きませんね。年配の職人さんは、厳しいこれらの丁稚時代を過ごしてきましたが、
今そのような事は通用しません。先に見える自分の姿がはっきりとしていれば、また
頑張ろうと思えるのですが。もう一つの問題は仕事の中身が変わったということがあります。
左官は大工と両輪のようにして、建築現場では采配を振るったものです。しかし工事の
乾式工法が一般的になり、急激に仕事が減ってきたのです。安価で工事期間が短縮できる
ことから、今では左官仕事は玄関回りと基礎塗りだけとなってしまいました。
もうだいぶ前からのことですが、そのことが影響して今の状況があります。
漆喰を塗ったり、左官の技術を生かせる仕事があるとまた新しい人間も入ってくるのですが。