2021/09/04心地がいい
家造りに地域の人達が参加して出来た時代があります。
集落の人たちが棟上げや、茅葺の吹き替えがあると加勢してくれて有り難い慣習でした。
もっとも労力を貰うと、同じように労力で返さないといけないことになります。
地域のコミュニティが生きていて、お互いに助け合って生活を営んでいた頃です。
鹿児島ではイモドシ(結い戻し)と言っていたのを覚えていますが、このような言葉を使う
人は今少ないですね。茅葺の屋根というと、岐阜県の白川集落のことが思い浮かびます。
一方鹿児島の農家の家も多くが茅葺屋根で出来ていたのでした。
分厚い茅の屋根裏は、夏は涼しく冬は暖かい空気環境になり快適なのです。今の住まい造り
のキャッチコピーのようなことを言っていますが。その屋根には40センチくらいの茅が
葺かれているでしょうか。茅が幾重にも重ねられることで、空気層が縦に横に沢山できる
ことになります。これが夏、冬の厳しい外気温に対抗して思った以上に快適な空間を生み
出しているのです。今の断熱のきいた高性能な家と同じかというと、感覚的にまったく
違います。かすかな空気の流れを感じてさわやかなのです。通気のある事を実感として
覚えますので息苦しさがないのです。現代の家は断熱と同時に、気密までしっかりと漏気
しないように造っています。気密値を誇る住宅会社もありますが、人間の感覚は違います。
これが、性能は良いのだがどこか足りない・・・、という五感を覚えるのです。
「ビニールハウスの中にいるような」そんな感覚をいう方もいます。断熱が効くのは
素晴らしい、でも気密を高めすぎると息苦しいのです。