2021/09/18尺の違い
最近古い建物を解体することが多いです。その部屋に入ると普段と違うスケール感を持つ
ことがあります。改めてメジャーで測ってみると、なるほどそうだったかと得心が行く
のです。今でも建築の世界で生きていて、基本寸法となるのが尺貫法です。
基本となる3尺の寸法は、新しいメートル法に変わるタイミングで、いくつかの基準が
出来たのです。その基準の違いによって、先ほどのスケール感の違いを覚えるのでした。
人間の感覚は直感的にいろいろなことを判別する力を持っているものです。
部屋に入り少し広さを感じたのは、中間間という基準で家が造られていたからでした。
住まいは関東間、中間間、本間とありますが、現在ほぼ関東間での家造りが主流に
なってきました。3尺を910mmとした基準で家が造られますが、中間間は950mm
ですので4㌢長くなることになりますね。昔造られた本間に至っては1000mmとさら
に5センチ程伸びています。4センチはそれ程大きくはありませんが、部屋として仕上が
ると、感覚的に広さを感じるのです。どこかゆっくりとして、慣れ親しんだ関東間とは
雰囲気が全然違います。それを感じられるのが中間間の良さです。
またベッドを置いてみて、畳が敷かれてみて感じることもあります。一方本間の家造り
は家が大きくなり過ぎてしまいますので、最近あまり造られなくなりました。
面積的には2割も大きくなりますので、無理からぬことです。そして最大の問題はやはり
大きくなった分の建築費が増えることでしょうか。この差を考えると、今の家造りの
主流は関東間となるのは仕方のないことかもしれません。それでも廊下やトイレ、
階段は特に狭さを感じやすいところです。せめてここだけはとモジュール(3尺)を
中間間や本間にして狭さを感じないようにしたいものです。