2022/02/03続関門3
「研修施設」の設計課題は過去にも幾度か出題されています。
昭和49年には「宿泊施設をもつ小研修施設」また平成8年には「景勝地に建つ研修所」
が出題されています。過去60年の間に3回も出題されているということは、割と人気の
課題と言えます。
また平成に入ってからは高齢者施設や介護施設の課題が出題されるようになり、時代の
背景を映し出した試験になったようです。課題が発表されると、実際の建築を見ることで、
より現実味のある感覚を養おうとしました。
吉田青少年研修センターや地方の研修施設の視察に行ったこともありました。
現場マンは日常業務において、設計業務を担当することはあまりありません。
ですので2次試験の設計製図を苦手としている方は多いです。今は1級施工管理技士と
いう新たにできた資格試験があります。この頃出来た資格制度で、現場施工管理に携わ
る人材の質的な確保とそれを認証しようとするものでした。
現場を任された専任技術者には最も相応しい資格で、これがあれば建築士の試験は受け
なくて良いと考える人もいます。
ともあれ予想問題は専修学校から沢山出されます。それを出来るだけ数多く解き、
どのような課題が本番で出てもやれるという自信を持つことが大事なことです。
前年に不合格の経験から量稽古を積む以外にないと感じていたのです。
また丁度その時期は加世田の食肉センターの新築工事の最中でした。
最新式の設備を導入した福岡の食肉センターを見学し、工事に取り掛かったのでした。
ところがこの現場を受注したまでは良かったのですが、予算が無い、工期が無いと言う
無いない尽くしの現場だったのです。
自ずと無理な発注、無理な工期を余儀なくされ、進められることになってしまいます。
そのような事情から夜10時位に上がる勤務は、常態化してしまったのでした。
そこから帰宅後課題の製図を描くと、毎日2時過ぎ位になります。
5時間あるかないかの睡眠で起き上がり、8時には現場に着かなければなりません。
このような生活が何か月か続くうちに、すっかり体調を崩してしまい、微熱持ちの
体質になってしまったのでした。体に熱がこもってしまう感覚は嫌なもので、この
体質は10数年も引きづることになったのです。
そうこうしているうちに設計製図の試験日がやってきたのでした。厳しい仕事環境の
中でとにかく時間を工面し、寸暇を惜しむように製図の課題に取り組んだ日々でした。
相応の対策をして臨んだ試験でしたが、結果はまたしても不合格。
これでまた一から出直さなければならなくなり、自分には設計能力があるのか疑問を
感じてしまうのでした。