2022/04/23語ってくれる人
可愛がってもらった人が相次いで亡くなり、さみしいものがあります。
一人はOB客様で、いわゆる知識人と言われるような方です。
同郷のよしみもあって、大きな家を造らせていただいたのでした。
初めてお会いした時は20年近く前のことでしょうか。資料請求があり、届けに行った
のがきっかけでした。
昭和二年生まれは母と同じ年で、生きていればこのような歳の感じであろうかと思い、
身近に感じる方でした。また随分と可愛がってもらい、大きな恩義を感じています。
深い知識と見識を持った人は、そう身近にいるものではありません。
戦後処理の話や東京裁判の話は、聞いていて新鮮です。
生まれる少し前の話しで、決して遠い歴史の話ではないと気付くのです。
夫婦二人とも大変な読書家で、新築の時に2万5千冊の蔵書を確保しました。
それから数年後にちょっと来てくれないかということで伺うと、更に2万冊の本を
屋根裏に収納するので棚を作ってくれと相談がありました。
本は年々増えていったのでした。
いわゆる軍人エリーではありましたがとても謙虚な方で、礼節を踏まえて生きてきた方です。
昭和の躾と所作、言葉使いに、昔の美しい日本人の姿を見る思いがするのです。
親子ほど違う私にも丁寧な言葉でお話しするので、恐縮することがありました。
とにかく話が好きな方で、奥様が作った昼食を頂きながら、丸一日話を聞くことも何回か
あったのでした。ですから訪問するときは予定を開けて伺うようにするのでした。
世間話や井戸端会議のようなことはお話しされず、いつも国の向かう方向や社会の在り方、
なぜ戦争をしたのか等は好んで話しをされるのです。
こちらも飽きが来たり、聞いていてまたかというような話ではありませんので、大変為になる
のでした。長話は今のスピード社会に禁物ですが、余裕があれば「今日は話を聞きたいな」と
いう日があって伺うのでした。