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スタッフブログ

2022/05/08
取付大工
投稿者:代表君野

木造住宅は木材の特質を十分に理解して造りたいものです。

 

木材の長所、欠点を見極めて適材適所に使うことが出来れば、必ず期待に応えて

 

くれる素材です。そうすることで人間にやさしく、潤いのある過ごしやすい住まい

 

になるのです。

 

さて先日若い大工さんが「親方は何も教えてくれなかった」という理由で師匠の元を

 

離れたという話をしました。この若い大工さんが楽しい家の建築現場に来て、

 

「羨ましいです。僕もこんな家を造りたいです」と言ったといいます。

 

大工の知り合いでうちの現場の加勢に来た若い大工です。いつもはある大きな住宅会社

 

の木工事を任されて頑張っている様子です。

 

何を羨ましいと思い、自分もこのような家を造りたいと思ったのか。

 

この若い大工がお世話になっている会社の大工仕事がどんなものか考えてみました。

 

棟上げ作業は木造住宅の工事過程で、最も躍動的で皆が期待感を持つ仕事です。

 

何もない所に一日で家の骨格が出来上がるので感動すら覚えるのです。

 

当日の大工は6~7人配置されて緊張感を伴いながらも柱、梁が組み上がっていく仕事

 

には誇りと充足感を覚えるのです。

 

ここまでは木造住宅を造る会社であれば大差はありませんね。違いはこの後からの大工

 

仕事になります。現場には次々と新建材が搬入されて、床板を貼りMDFで出来た木枠や

 

造作部材を取り付けて、その後ボードを貼る、この作業の連続になるのです。

 

押入れの棚や枕棚も既製品がありそれを取り付けるだけで完成です。食器棚や下足収納は

 

組み立てて設置すると出来上がりとなります。

 

この様な作業が今の大工さんの仕事と言えば仕事です。ですから大工道具と言えば鋸と金づち

 

があれば大抵の仕事は間に合います。ノミやカンナは大工さんが腕を振るい、職人技を競う

 

プロの道具でしたが、今は持っていなくても仕事は出来ます。

 

工場加工された新建材の部品を嵌めていくことで家が出来るようになったのです。

 

それを否定的に言うつもりはありませんが、大工仕事は様変わりし、そこに物足り

 

なさを感じるのです。言葉は過ぎた言い方ですが、今の大工は「取付大工」と言っても

 

いいと思います。ですから和室の床柱や仏壇、書院という大工仕事は経験しない方も

 

大勢います。これが今の木造住宅の主流であれば仕方のないことかもしれません。

 

先ほどの若い大工さんは、うちの現場の作業を見て驚くと同時に、本来の大工仕事を

 

そこに感じたのだと思います。

 

また新建材、MDF既製品でない家造りの作業は、大工さんの作業環境も安心安全なものに

 

なるのでした。

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