2021/08/02潤いのある木
柱や梁、桁は構造を支える最も中心の部材になります。
その部材には国内産で、気候風土の一致する所の木を使用しています。
南九州の気候は高温多湿、最近はさらにこの傾向が激しくなってきました。
以前秋田県の秋田杉は銘木中の銘木と言われました。今は資源が無く
なったのかニーズがそもそも無いのか、おそらく両方だと思いますが
滅多にお目にかからなくなりました。
古い料亭の建て替え工事でしたが、そこの柱が秋田杉と思われる立派な
ものでした。柱の木目は緻密で美しい柾目ですが、乾燥仕切っていて
こちらの気候に、馴染んでいたようには見えません。木の肌さわりは本来
しっとりとして、潤いがあるものなのですが違いましたね。
木は四季に合わせて吸湿と乾燥を繰り返し、年月を経るにつれて落ち着いた木肌
を見せるものです。
東北に住んだことはありませんが、厳しい冬と比較的しのぎやすい夏の
気候に、順応して育った木が秋田杉です。南九州の気候風土とは違いが
大きいですね。木は夏の湿気の多い季節には吸湿して、乾燥する冬はその溜め
込んだ水分を吐き出す作用をしてくれます。このような有り難い木の特質は、
地元で育ちさらに自然に乾燥された木材ならではのものです。
じめじめとした季節に、割とさっぱりとした感覚を覚えるのは、木の調湿作用に
よるものです。また冬乾燥する季節には喉を傷めたりしますが、湿度が下がら
ないのでそのようなことも少ないのです。これは住んでみないと感覚として
伝えられないのですが、OB様がよく言われることです。
「地元の木を使って家を建てる」これが住まい造りの基本ですね。