2021/10/27一気呵成2
藤井寺には近鉄バッッファローズ(現オリックスバッファローズ)の本拠地球場も
あったのですが、それを見に行く暇がない位仕事に明け暮れた年でした。(この年近鉄
は9年振りに優勝)当時ゼネコンの売り上げは、社員一人当たり1億ちょっとという時代
でした。工期6か月ちょっと、8人で13億はかなりの重圧となって現場にのしかかった
のでした。このボリュームの仕事を来年2月までに完成させよとは、いくら何でも無茶な
工期設定です。植田所長の口癖は「この世の事はこの世で解決される」でした。
これは開き直った態度ではありますが、同時に現場を預かる長としてズシリと重たいもの
を背負っていたことを示しています。本店も当然受注のいきさつから、緊急事態の現場で
あることは分かっています。部、課長も頻繁にやってきては檄を飛ばすのでした。
ある日「若い二人が戦力になっていないようだから、よく注意しろ」と偉い人に所長は
言われたらしい。私は直接聞いたわけではありませんが、所長は「遅くまで事務所に帰ら
ずよくやってくれています」と言ってくれたらしいのです。
喜入さんだったかもう覚えていませんが、そう聞いたときはこの所長の為だったら、全力
を尽くしてやってやろうと思いましたね。人柄のいい所長さんで、苦行に等しいこのよう
な現場で一緒できたのは、その後の建築人生において、部下を持った時の心得として体験
出来てよかったのでした。このようなこともあってか社員8人は、何としても工期内に
完成してみせると覚悟は出来ていたのでした。ただ厳しい現実は続き、今日の事をやるだけ
で精一杯の状態は当分続くのでした。